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いつもスキンシップの多い遊に慣らされていた真人は、いきなりのキス発言に、キスすること自体おかしいと気づけずにいた。
「(やっぱ経験のある遊にしてもらう方がいいよな?
俺が下手くそなキスして笑われるのは嫌だし。
キスってほっぺとかだろ?
遊って、手握ったり、抱きついたりスキンシップ好きだし。その延長ってことか?
別にほっぺにキスぐらい屁でもないし。いっか。)」
それでもいざ口に出すのは恥ずかしい。
真人は目線を下に逸らすと、床についた遊の手を見つめ、か細い声をあげた。
「…からっ…」
「…何?聞こえねーよ。」
「…ゆっ……ゆっから……シて…下さい……お願いします…」
遊が一瞬息を呑み、二人の間に沈黙が流れる。
「…えっと…ゆ、ゆう…」
上目遣いで見上げた真人は恥ずかしさに目元が赤らんでいて、瞳が不安気にゆらりと揺れる。
ハッと我に返った遊が、唇の端の口角を上にあげ、にっこり微笑んだ、
「……俺からね?了解…」
遊は真人に向き直ると右腕を取り、自分に体を向けさせる。
もう一方の手で真人の肩を掴むと、ゆっくり顔を近づけた。
近づく遊の両瞳に真人の顔が映る。
……顔がち、近い……
遊って、男前だしかっこいいよな。俺より10cmは高いし、あっ、左の目元に小さいホクロがある。
ってか、なんかドキドキする。
バカ、俺、ほっぺにチューするぐらいで何ドキドキしてんだ。
落ち着けーっ。
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