1.ペパーミント

5/8
前へ
/8ページ
次へ
真人は思わず首を竦め、目尻にシワを寄せてギュッと目を閉じた。 でも、いつまで経っても衝撃が来ない。恐る恐る瞼を開くと、そこには、鼻筋の通った遊の顔。 自分とは違う意思の強そうな眉、鳶色の瞳。薄い唇 「……な…に?…」 「…いやっ。…かわいいなって思って… キスされると思って、目を閉じるとか……」 (なっ!)真人は恥ずかしさに顔から火が出るかと思うほど、頬が熱くなる。 「ばっ、バカっ。からかったのか? うぅっ!やだっ!しないー。もっ離せ、このヤローっ!」 遊の腕から逃れようと、真人はジタバタもがくが、体格の差があり、拘束から逃れることができない。 「ぷはっーごめん。ごめん。からかってないよ。 キスを待ってる真人が、ちょー可愛かったからさ。 はいはい。大人しくしな。 じゃっ。…本番な…」 遊の目が艶やかにギラリと雄の色を帯びる。 遊は右手を真人の後頭部に添えると、ぐいっと顔を引き寄せ、そのままゆっくりと真人の唇に自分の唇を合わせた。 (むっ!くちーっ?!) 真人はパニックになり、遊の体をバンバン叩いて抗議するが、遊は全く動じない。 重ねてただけの唇から、移動して上唇をねっとりと含 み、吸い付く。次は下唇を挟み、舌先で嬲る。 唇を離し、舌先で真人の唇の形をなぞり、一周した後、また唇を合わせてくる。 なんだよ。その舌技!遊~お前エロい~なんだよ。なんなんだよ。このキス! 「…ふっ、うっ…」 息をするのも忘れていた真人が、堪らず声を漏らした瞬間。 一気に遊の熱い舌が口内に侵入してきた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加