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遊は眉を寄せ、苦笑いしながら、この鈍感な愛しい子が勘違いしないように、ハッキリ言った。
「…真人が好きだから……キスした…。」
「えっ!!」
真人はこれでもかと大きく目を見開き、口も大きく開けっぴろげた。
「えっ、あっ、そうなんだ…」
「そうなんですよ。」
「じゃ、あのさ、聞いていい?」
「なんでもどうぞ。」
「あのっ、つっ…キッスなんだけ
ど……いつもあんなの…
えっと…濃厚なの…してるの?
……うッ…お、おんなの子と……さ……」
真人は、言いながら、だんだん声が尻すぼみになり、なんだか涙目になってくる。
遊が他の女の子と、キスすると考えるだけで泣きたくなってくる。
「まひと…泣かないで。」
「えっ?泣く?」
遊の長くて無骨な指が伸びてきて、真人の目元を拭い、両手を頬に添えた。
「聞いて真人。あんなキスするの
は真人だけだよ…
真人だからキスしたいんだ。
他の人とはしないよ。」
「本当っ?」
「うん、本当…だからね、真人。
真人も他の人としちゃだめだよ。」
「う?うん。」真人は訝しげに首を傾げる。
「それとね、真人は、
一生童貞決定だから♪」
「うぇっ?」
「拒否権 はありませーん。
大丈夫、俺がずっと側にいるから。
これからゆっくり、キス以上の
ことも教えてあげるよ。」
遊が意地悪い笑みの顔になった。
真人はその言葉に、羞恥で顔が真っ赤に染まる。
「ばかーっ!勝手に決めるなーっ!」
真人は拳で遊の胸をポカボカ叩きながら、
それでも、やっぱり遊の側が一番
落ち着くと、改めて思うのであった。
べパーミント end.
2014.7.12
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