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「えっと……それで、何故白皇さんは孤児院なんかに行ったんですか?」
緋雨はモゴモゴと小声で言った。
「緋雨さん、喋るなら大きな声で言って下さい。聞こえませんから。」
聞こえてるじゃないですか…。
緋雨はそう思ったが声には出さなかった。
「まったく…私の耳が良くてよかったですね」
心の声まで聞こえているのではないかと緋雨は思いつつ
「地獄耳どころじゃないですね」
と笑った。
「残念ながらワタシは心までは読めませんよ」
「…………。」
やはり、読めているではないかと思った緋雨は無言である。
「まぁ、残念ですが、私も白が孤児院に言っている理由は知らないんですよ。今度白に直接聞いてみてはどうですか?」
黒影は店の扉まで歩き、扉の鍵を開けると
「白のことですから答えてくれるかもしれませんよ?」
と言って扉の横にかけてある窓にある「close」と書かれた札をひっくり返して「open」と書かれた方を外に向けてカウンター席に戻ってきた黒影は
「たぶん、10分もしないうちに松尾さん達がお見えになると思うので接客お願いしますね。ちょっと私は用事があるので…」
黒影はそう言うとカウンター席の奥にある裏口から外に出ていってしまった
「あ、はい。」
緋雨は閉まった扉を見つめて返事をした。
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