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「……あの二人なら大丈夫な気がするんですけどね」
緋雨は冗談ぽく笑った。
「いやいや、あの二人はこの街で唯一『処刑人』に会って生きてる二人でね、また命を狙われるかもって思ってな」
「その……『処刑人』とは?あの二人が命を狙われるって?」
「あぁ、緋雨ちゃんは知らないんだったな『処刑人』とはな…」
「松尾さん。あまり緋雨さんに変な知識を吹き込まないで下さい。」
「!?黒影さん」
「黒の店長…」
いつの間にか緋雨の後ろに立っていた黒影はため息混じりの呆れた声で言った。
「ご忠告ありがとうございます。白には私から言っておきますからそれ以上の余計な情報は緋雨さんに教えなくていいですので…世の中には知らない方がいいことがたくさんあるんですよ」
「お、おう…分かったよ」
松尾は立ち上がり連れの二人に目で合図すると
「悪かったな緋雨ちゃん。じゃ、また」
と言って店を出ていった。
机の上には紅茶の料金がしっかりと置かれていた。
緋雨はお金を回収してから黒影を見た。
「黒影さん?」
「あぁ。あんな言い方してすみませんね。悪気があったわけじゃないんですよ?」
「あ、はい。」
「まぁ、『処刑人』のことはいつか教えますから今は忘れてください。」
黒影はニコリと笑ってカウンターに向かって歩いた。
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