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「なぁ、僕の連れてきたあの子は合格なのか?」
「………。」
彼は顔色を変えず紅茶を一口飲んでカチンとティーカップを置く。
「おいおい、答えてくれてもいいだろ?」
「あなたは察する、もしくは空気を読む事ができないんですか?」
彼は夏でも着ている黒い長いコートの中から本を取り出して読み始める 。
「悪いが僕には殺(さつ)する事しか出来ないし、空気は読むモノじゃなくて吸うものなんで。」
「屁理屈ですね」
「そうだよ。んで?どうなのさ」
彼はため息をつくと本を閉じて
「今この場にいない。つまりこの世に存在していない。……で、通じるかな?」
「お前は言い方が回りくどいんだよ」
「すみませんね。私にとってこの喋り方じゃないと自分を保っていられない気がしましてね」
「めんどくさくて、胡散臭いなお前は…」
「それで結構ですよ」
彼はまた本を読み始める。
「あーぁ、また不合格かよ。僕の見る目が無いのかな?」
「今更気付いたのですか?バカですね」
「うるせぇよ。ちなみに、俺はバカじゃないアホだ。」
「どっちでもいいですよ。意味はそう変わりませんし」
「ふん。つくづく嫌な奴だな」
「結構ですよ。」
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