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「とりあえず、これでよしと」
髪の毛から瞳まで真っ白な白衣の男は包帯の端を結びズレないように固定した。
「おぉ!すまねぇな、感謝する」
スキンヘッドの男は包帯の巻かれた腕を見てから頭を下げた。
頭を上げ、改めて白衣の男を見てから胸ポケットから分厚い茶封筒を出して
「これで足りるか?」
と尋ねた。
茶封筒を受け取った白衣の男は封筒の中身の札束を半分くらい取り出すと
「これで十分かな」
と半分の札束が残る茶封筒を返した。
「たかが刺し傷の縫合だし、そんなに大金はいらないさ」
白衣の男は封筒から抜いた札束を白衣のポケットにしまうと
「それに、マフィアであってもここまでの大金を出すのは大変だろう?」
微笑みながらメガネを押し上げた。
スキンヘッドの男は唖然し
「他の闇医者は、んな事言ってくれないぜ。アンタ、裏社会に似合わない良い人だな」
そうぎこちなく笑った。
……そう、ここは社会から見捨てられた人達が命を繋ぐため訪れる病院。
といっても、ボロボロのアパートの一室である。
もちろん、医者は医者でも頭に闇がつく医者なのは言うまでもない。
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