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『やはり、お前は――』
そう言ったきり、父は黙り込んだ。
ぼくは父を困らせる気も、また咎める気もなかった。
ただ、自分の推測が当たっているのか確かめたかっただけだ。
けれど――
やがて父は地下室に姿を現さなくなった。
毎日父が部屋の中まで届けてくれていた食事は、ぼくが寝ている間に扉のすぐそばに置かれるようになった。
ぼくは一層、読書にのめり込んだ。
物語は全て読み終えてしまっていた。
仕方ないので、それまでは敬遠していた学術書や魔術書、そして錬金術書の類にも手を出し始めた。
しかしこれらが意外とおもしろく、時間を忘れて読みふけった。
とりわけぼくは、物事がはっきりと割り切って記述してある書物を好んだ。
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