26人が本棚に入れています
本棚に追加
*
「…ちょお、しくったわ」
「ちょっとちゃうわ、ボケ。でも、ほっぺた、ガラス貫通せんで良かったな」
恐ろしげなことを笑顔で言い切ったジャッキーは、“これ塗っときぃ”とトッポ特製の軟膏をマックに手渡すが、マックは長い指の間でそれを転がしながら、訝しげにその毒々しい青色を検分しつつ呟く。
「ジャッキーの青椒肉絲、しばらく食われへんな」
酷く悲しげな表情で何を言うかと思えば胃袋の心配だ。ジャッキーは目尻に皺を寄せて豪快に笑う。
「ウハハ!治ったらいやっちゅうほど作ったるわ!」
「あと…」
「んぅ?」
「チューでけへん」
ジャッキーは口を大きくあけて笑い、マックの白い額を軽く小突いた。
自室まで戻るのがシンドイというあまり納得のいかない理由でマックはジャッキーのベッドに潜り込み、そのまま深い眠りに落ちた。
翌日から高熱を出したマックにそのベッドは占拠されることとなる。
最初のコメントを投稿しよう!