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「ジャッキー」
気が遠くなるほど甘い声だ。
「何したいか言うて」
この上もなくいやらしく、優しい指がジャッキーの身体じゅうを這い回る。
「こういうことしたいんちゃうん」
マックはジャッキーの肌の上に自分の肌を滑らせた。
お互いの尖った乳首が肌を擦る。
ジャッキーはなぜか、ガラスを引き抜かれて甘く喘ぐマックの声を思い出し、触れられてもいない下半身が硬くなってるのに気がついた。
「気持ちええなら、声、出して。もっと触ったる」
マックはジャッキーが堪えている様子を楽しむように、腫れた突起をゆるく引っ掻いた。それでも声を押し殺すジャッキーの、力の入らない足の間に長い指を挿し入れる。
指は躊躇いもなく奥へ入っていき、何かを探るようにかき回し、音を立てる。
「………っ…」
ジャッキーの喉が震えるのを確認すると、マックはあっさりと指を抜いた。
足を割り、片方の足を抱えて跨ぐと、潤んだ粘膜に自分のものをねじ込む。
「唇、噛んだらあかん」
唇を噛んで声を殺すジャッキーの口の中に人差し指と中指を突っ込む。
私刑でできた指先のかすり傷にジャッキーの唾液が沁みた。
今、マックの腕の中にいる男は、生命力の塊のようで、死の臭いが全くしない。
やや荒れた頬は紅潮し、体も爪の先まで温かくて抱いていると落ち着く。
うまくやってきた方だとは思うが、この件で自分は死ぬかもしれないと、マックは漠然と考えていた。
ただ、死がそこまで迫ってきていると思うと、途端に恐ろしくなる。
腕の中のこの男に、縋りたくなる。
男の身体に男の身体をどれだけ打ちつけても、溢れる体液をどれだけ注ぎ込んでも、その身体は何も生まない。
産んでくれればいいのに、とマックは無責任に思う。二人が出会って生きた証として、何かが産まれればいいのに。
「ジャッキー、俺を産んで」
何を言われたのか理解できないまま腰を回されたジャッキーは、掠れた声を漏らしながら白い指を噛む。
硬い八重歯に食いちぎられる前に、マックは唾液にまみれた指を引き抜いた。
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