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腹を括ったジョニーはジャッキーに懐いた。ジャッキーが話しかければ答え、ジャッキーが笑えばジョニーも笑った。
「ジョニーはめっちゃ男前やけど、笑ろてないとお人形さんみたいや。愛想笑いくらいはできるようにならんとよう食うていかれへんで」
と言うジャッキーに、自分は自分なりに努力をしているのだと抗議しようとすると、「昔の誰かさんみたいやな」とジャッキーが頬を染めるので、ジョニーは何も言えなくなってしまう。
マックやアーセナルに霞んで目立たないが、ジャッキーは相当整った顔をしていると、ジョニーは思う。
すっきりした輪郭に高い頬骨、凛々しい眉、大きくて丸い目に深い二重瞼。少し上向きの鼻と笑うと覗く八重歯、そして何より闊達な喋り方の、愛嬌が良すぎるのだ。
「俺ばっかやなくて、他にしゃべれそうな奴おらんか?」
「トッポ」
ジョニーが答えると、ジャッキーは嬉しそうに笑った。
「即答やん。呼んできたるからぁ、ここで待ってるんやで」
ジャッキーはそう言うと、ジョニーを一人部屋に残し、出ていってしまった。
ほどなく扉が開く音がしたので、「トッポおった?」とジョニーが振りかえった先には、招かれざる客が立っていた。
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