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クラブエイトの近くにある総合スポーツ施設に、自称フットサル場荒らしのジャッキーがはしゃいでいるのを見つけると、マックはベンチに腰掛けて彼に見入った。
一心不乱にボールを追いかける姿は、まるで子供のようだ。
相手にゴールを決められ、舌打ちしながらベンチに入ってきたジャッキーは、珍客に目を輝かせる。
「どしたん?」
マックはジャッキーの質問には答えずに、「オツカレ」と言いながら水の入ったボトルを投げ渡した。
ジャッキーはボトルを受け取って一気に半分ほど飲み干すと、ボールを足で掬いあげ、胸や足を使って数回リフティングした後、マックめがけてヘディングした。
マックは立ちあがってそのボールを胸で受け、フットストールしてからジャッキーに蹴り返す。
ジャッキーは『やるやん』と挑戦的な顔をしてヒットリフトでボールを蹴りあげ、数回足でさばいてから再びマックにボールを返す。
そのボールを手で受けると、マックは地面に叩きつけて跳ねさせ、ドリブルをしながら流れるように走り出す。そのままフットサルコートを横切ってバスケットゴールまで走り切り、ジャンプショット。
マックの放ったボールは綺麗な弧を描いてゴールの板に当たり、かごの縁をゆっくりと旋回した後、パサッと音を立ててネットの中心から落下した。
「サッカーボールでバスケしなさんな」と笑いながら小走りで追いかけてきたジャッキーにマックは振り向きもせず、「明日、メシ、食いに行こうや」と独り言のように呟いて落ちたボールを拾い上げる。
予想だにしない男からのお誘いに、ジャッキーは丸い目を更に丸くする。
「え、ええけどぉ、急やなぁ」
マックは少しだけ後ろを振りかえり、腕を伸ばしてジャッキーに一枚の紙切れを手渡す。
「俺、今日店に戻らんから。一件片づけてから直接行くわ。……ええカッコで来てや」
ジャッキーは紙切れを受け取って場所と時間を確認すると、こぼれるような笑顔をマックに向ける。
「なんや、デートみたいやな」
「アホか」
マックはボールを投げ返すと、再び背を向けた。
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