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「マック」
血の噴き出す右足を引きずりながら歯を食いしばるマック。
ジャッキーは周囲を目視してから彼に近づき膝をつく。
「狙われてんの、あんたやで」
「?!」
胸のチーフを抜き取って歯で軽く裂いたジャッキーは、驚くマックの太ももに紫色の布をぐるりと巻いて止血した。
「あんた、キングのこと知りすぎた。上層部が消そうとしとる」
「……。」
「あんたのことは俺が殺させへん。アーセナルもガムもエースも、もうすぐこっち来る。____もう、独りで悩むな。一緒に生きよ。あんたやんか、“兄弟や思てる”て言うてくれたの」
自分を曇りない瞳で真っ直ぐに見上げるジャッキーに、マックは観念したように笑う。
「…地下にワインセラーがあるはずや。そこまで移動するか」
「せやな。いくらアイツらでも、あんだけ敵多いと中まで来るのに一時間以上はかかるやろ。……終わったらぁ、ワインのええのんなんぼかもろてかえろかぁ?」
「コソ泥みたいなことすな」
「ジョーダンやっ_________」
努めて楽しげに話していたジャッキーが突然頽れる。
銃弾が彼の横っ腹を的中していた。
これを皮切りに再開した銃撃に、マックは傷付いた足をかばうことなくジャッキーを抱えてワインセラーに逃げ込んだ。
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