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「_____あっ_____はっ、ぁっ…ま____」
「しゃべるな!」
ひゅーひゅーと息を漏らすジャッキーの腹はどんどんと鮮血に染まっていく。
マックは壊れ物を扱うように、ジャッキーの身体を脱がせたジャケットの上にそっと降ろした。
ネクタイを解き、ベルトを外して血に染まったシャツを裂く。
血が溢れだす左の横腹には弾が埋まったままだ。
「くっそ」
「__ま、マック、はーーーーーっ、はーーーーーっ、マック…」
「なんや、どうしたんや」
「____あつい…ぬいて…たま、ぬいて…」
「抜け言うても、お前…」
「___こ、これ、…これ。使こて」
ジャッキーは血だらけの手で自らの武器を震えながら手渡す。
マックは少し躊躇したが、ジャッキーのポケットに手を突っ込んでライターを取り出すと、ナイフを炙った。
手の届いたワインを口に含んで患部に吹きかける。
マックはジャッキーを見た。
ジャッキーは潤んだ瞳で悟りきったかのようにただ待っていた。
「いくで」
マックの手にしたナイフがジャッキーの腹を抉る。
「_____あ、あああっ!」
ナイフが腹を進む毎に、掠れて苦しげな声がだんだんと悩ましげな喘ぎに変わっていく。
「は、は、は、___あっ___マ、マック。も、もちょっと……上___は、そう、そこ。」
途切れ途切れにジャッキーが懇願すると、マックは一瞬も焦らさずにそれに応えた。
「___う、あっあっあああっ、んん…は、は、は、」
悶えながら目の前の男の名前を呼び、ジャッキーは白い腕にギリギリと爪を立てる。
応酬のように突き立てられたナイフはようやく弾に辿りつき、ずるりと抜けていった。
弾を取り除いたマックは、自らのジャケットを脱いで気を失ったジャッキーの腹を巻いてきつく縛った。
まるで血の気のないジャッキーの頬に触れ、息をしているのを確認するとマックは施策を練る。
だが、右足は自由が効かない、弾ももうない、相棒は生死を彷徨っている。この状況で何ができると言うのか。
「サイアクや、電波も入らん」
マックは役に立たない通信機を放り投げ、四肢を投げ出してジャッキーの隣に仰臥した。
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