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マックの赤い唇を血で汚れた手で撫でたジャッキーは、掠れた声で名前を呼び、譫言のように呟いた。
「好きやでぇ…」
マックは驚いて目を見開く。目から熱いものが溢れ出た。
「何、泣いてんねん、あんたらしくないわぁ~。_____足、痛むんか?」
ジャッキーも朦朧とした意識の中で驚いていた。仲間には、特に自分には弱さを見せない男が泣いている。
「苦しいんじゃ」
「んぅ?」
「お前を好きやってことが、苦しいんじゃ…!」
マックはジャッキーを深く抱き込んだ。
「やっと、言うたな……は、は、___もう、心残り、ない、わぁ、はーーーーっ、はーーーーーっ」
「何弱気になってんねん、お前らしない!」
ジャッキーの呼吸はだんだんと荒くなる。
「死なさん、絶対に死なせへん!」
最早会話も困難だ。
「______俺の全部、お前にやる」
マックはジャッキーの背骨が撓るほど強く抱きしめた。
ほどなく、ワインセラーの入り口が開く軋んだ音を聞き、マックは目を見張る。
「夫婦で無理心中はアカンでぇ~、お二人さん♪」
明るい声が頭上から降ってきた。
ガムだ。
「遅いわ、ボケ」
マックは満身創痍のガムに笑顔で憎まれ口を叩き、ジャッキーを抱きかかえながら立ち上がった。
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