11人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
オフィスビルのエレベーターを降りて玄関を出る。外はまもなく日も落ちる夕暮れ時だ。
「よ~しっ! ユキナ、ユキナッ!」
その時、風が吹き俺の胸ポケットからさっきのメモが舞い上がった。
引き飛ばされそうになりながらも反射的にメモを掴んだ俺は、なんとなく番号をプッシュし始めた。
「ちっ……まぁ本当であれば就業時間だしな……」
コールが1回、2回、3回。
その時だった。
──『おめでとうございます』
第一声で他人にかける言葉ではない。それに機械で合成したかのような……。なんとなく身構えた俺は、慎重に切り出した。
「なに? なんなの?」
『おめでとうございます。
本日のチャレンジャー『タケイ』様!
ゲーム開始です!』
「はっ!? オタクどこの会社?」
『10,9,8,7,6……』
謎のカウントダウンに、なぜか額の汗が吹き出てきた。
俺は辺りを見回した、主婦やOLが不審人物のように見てきたが、とにかくいても立ってもいられない。
最初のコメントを投稿しよう!