第1章 内なる心情と死神の葛藤

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「ゆっ!?由奈君!!! まずい……。 術式1st!ゴッドハンド!! 留奈君!あちらを頼む!!」 「了承……」 留奈は、神々しく光る術式の中から、外へ。 輝く術式に目をくらませている総司の前に歩み寄り、顔を見上げる。 「くっ…前が……」 「総司お兄ちゃん……。 何で?」 「そっ!?その声は…留奈殿か……。」 目がまだ見えていないのか、手探りで留奈の頭を探し当て、そっと優しく撫でてくる。 その表情は、先程由奈に刀を向けた時とは違い、穏やかで優しい顔をしていた。 〝………。 何故だろう…この人は何故…… とどめを刺すのに躊躇したのだろう…。〟 留奈の何で?とは何故すぐにとどめを刺さなかったと言うこと。 留奈にとってそれはこの世で最も不可解な事であった。 「すまない……。」 徐々に目が見え始めたのか、留奈の顔を悲しそうな表情で見つめ、唇を強く噛みながら謝ってくる。 だが、死神と呼ばれた少女には、その意味が分からず、首を傾げ、キョトンとした表情を見せるしかない。 〝別に私が怖いと言うわけではない。 なのに、何故この人は私に謝るの?〟 全くもって不可解な総司の言葉と表情。 留奈は素直に聞いてみる事にした。 「ねぇ…なんでそんな顔するの? それに、何故謝るの?」 「留…留奈殿………。」 総司の留奈を見る目が変わった。 「ねぇ……。なんで? なんで、止めを刺すのにためらったの? 総司お兄ちゃんはそんな弱い人じゃないよねっ?」
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