第1章 内なる心情と死神の葛藤

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「留奈殿……。 違うんだ……。君の思っている強さは力ではあるが…… 強さではないんだよ。」 「………。 違うって……? 力が強さではないって? 言っている意味がわからない。 自分の身を守る為には、殺すしかないよね? それが強さじゃないの?」 総司は愕然とした。 こんな小さな子が死神と言われる由縁……。 それが、身を守る為に人を殺し続けた結果である事に気づいてしまった。 〝これは……、皮肉だな……〟 額から溢れる嫌な汗。 この世界がこの少女を深く闇に落としてしまったのだ。 〝この少女に……教えてやらねば……。 強さにはまだ!別の可能性がある事を!!〟 総司は、震える拳を力一杯握りしめ、開くと柄を手に取り抜刀した。 「抜け!留奈殿!!! 私が本当の強さと言うものを教えてやる!!!」 「…………。 わかった……。その方がわかりやすい。」 留奈も腰のホルダーから武器を取り出し、深く沈む様な体制で構える。 「行くぞ!留奈殿!!」 「………。」 刀を小さくかつ、垂直に構える示現流の構え。 天心流は、この時代に至るまで、数々の流派の長所を取り入れ、成長してきた流派。 幕末の時代。 倒幕と共に剣の時代が終わると危惧した各流派の道場主達が、当時、天才剣士と謳われていた初代沖田総司に目を付け、全ての技術を叩み、後世に残した。
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