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「くっ……。これでは…。」
寒さのせいで、五感が鈍り、心眼も使えず、折角張った剣気の結界もこれでは意味をなさない。
「………。
今度はこちらの番。」
総司の耳元で囁かれる留奈の声。
背筋がぞっとする程の殺気を感じ、その場を飛びよける。
だが、既にその場には留奈の姿はなく、よけた先で閃光の様な一筋の光が目の前をよぎった。
「くっ………。」
「………。あれ?……おかしいな……。
何で当たらない?」
「そこか!!!」
総司は声のした方に剣を振るう。
だが、空を切るだけで何も当たらない。
「………。今度こそ。」
「なっ!?」
総司の目の前に突如姿を現し、宙高く蹴り上げられた。
〝まずい…やられ……〟
「行くよ。総司お兄ちゃん……
乱れ桜……」
〝くっ………〟
打ち上げられた体では身動き一つ出来ず、武器を振り上げ、今にも斬りかかって来そうな留奈を前に覚悟を決めた。
「…………。ん………。
何故だろう……。
おかしい……。」
けして表情を変えることなく着地し、己の手を不思議そうに手を見ている。
総司も着地するなり、腹を蹴られたダメージのせいか、バランスを崩し座り込んでしまった。
「まぁ……。これで終わり……。
バイバイ…総司お兄ちゃん。」
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