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殺気を帯びながらゆっくりと近づいてくる留奈。
留奈のナイフが総司の首に当てられ、後はナイフを引くだけで、総司の人生が終わる。
「…………。なぜ?
何故殺せない………。」
「………?」
包丁を持つ左手が震えている。
ふと気づくと吹雪と共に留奈の体から殺気が消えていた。
〝!?これは?〟
明らかに躊躇っている。
総司を殺すなら何度もチャンスはあった。
だが、留奈はそれをしなかった。
いや、出来なかったのだ。
〝試してみる価値はあるな……〟
そう思い、首に当てられたナイフを払いのけ、間合いを取ると納刀し構える。
「いくぞ!!
天心流……!1の秘剣……!!」
刀の鞘走りを利用し、相手を寸断する居合の技。
その技は神速を超えるとかまいたちを発生させ、刀とかまいたちによる二重の傷を負わすことが出来る。
「影郎!!!」
「!?」
真っ二つに切り裂かれ消える留奈の残像。
ここまでは読み通りだ。
〝次に頭上から留奈殿の一撃が来る。
読みが外れれば…私は……〟
頭上からヒシヒシと感じる留奈の殺気。
だが、気配が近づくと共に殺気が薄れ、背後から留奈の足音が聞こえた頃には、殺気など微塵にも感じなくなっていた。
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