第1章 内なる心情と死神の葛藤

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「何故だ!何故…殺せない!! お前!!! 私に何をしたぁ!!!」 今まで殺そうと思って、殺せなかった相手はいない。 だが、総司は違った。 何度殺そうとしても、脳裏に二人で墓を作った時のことが浮かび、手が止まってしまう。 自分の中の歯車が抜け落ちてしまったかの様に調子が狂っている。 「留奈殿………。」 総司は納刀するとゆっくりと留奈のそばへ歩み寄っていく。 「くっ!? 来るな!! 近づかないで!!」 留奈は半狂乱になり、武器をデタラメに振り回し、まるで怯えた猫の様に威嚇してくる。 そんな留奈の手首を掴み、総司は抱きしめるとそっと耳元に囁いた。 「大丈夫だよ。 私は何もしていない。 それは、君自身が私を殺すことを拒否しているだけなんだ。」 「あぅっ……。」 総司の温もりが、冷えきっいた留奈の心を温め、吐息が耳をくすぐる。 留奈は恥ずかしさのあまり、総司の体を突き飛ばし、大声で叫んだ。 「なっ!?何をするぅ!!!」 心臓がバクバクと音を立て、今にもはちきれそうなくらい高鳴っている。 〝くっ……調子が狂う〟 「ハハハッ。 なんだっ。やはり、そんな表情も出来るんじゃないか。」 戦いなど忘れた様子でケラケラと笑う総司を前に、留奈は毒気を抜かれた様にキョトンとした表情で首を傾げている。 「自分で決めるんだよ。 誰かの為に、己の手を血で汚す必要はないんだ。 留奈殿の手は誰かを殺す為にあるんじゃない。 未来を掴む為にあるのだから。」
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