第1章

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・・・・・あれ、ここは・・・・ 「ソレ」は目覚めた。 そこはボロ屋だった。 建っているのがオカシイほどの。 「ソレ」が首を動かすと傍に男がいる。 身分は高そうだ。 ボロ屋には考えつかないぐらい身なりは整っている。 恐らくは、男である「ソレ」でさえも舌を巻きたいぐらいの美形。 その隣には「ソレ」を産んだであろう女。 二人は何か会話をしている。 「本当にぃ?ありがとぉ!愛してるわぁ」 甘ったるい、吐き気を催す声で女は男の腕にしなだれかかった。 「あぁ。俺も愛してるよ」 そう女に囁きかけながらも男の目は冷たい。 ああ・・・自分の父親はこれで、母親はこんなケバい女なのか。 「ソレ」は産まれて数日にも関わらず知性を持っていた。 ーーーーー自分は、記憶を持って生まれ変わったのか。 さよなら、昔の幸せだった自分。 こんにちは、クソみたいな世界。 赤ん坊ーー後に小鳥遊 理人と名づけられるーーは、心の中で半ば絶望しつつ瞳を閉じた。
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