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――きっかけは、一冊のアルバムだった。  たまたま机の上に出しっぱなしにしていたのを、彼女が見付けたのだ。 「ねぇ、これいつのアルバム?」 「うーん、高校ん時かな。……うん、高校ん時。この先生面白かったの、よく覚えてる」  ページをパラパラ捲りながら写真を見ていく。途中で自分を含め、四人で写っている写真が挟んであった。あっ、と声をあげた。 「どうかしたの?」 「……いや、懐かしいなって思ってさ。いつも一緒にいたメンツなんだ。クラスも三年間一緒でさ」 「へぇ……。……高校生の頃の話、聞きたいな」 「えっ!?」 「どんな感じだったの?」 「うーん、普通だったよ?」  そう言うと、彼女はちょっと不貞腐れたような顔をした。 「あなたにとっては普通だったことでも、私にとっては普通じゃないかもしれないじゃない。それに、この人たちのことも知りたいな」  彼女はちょっと頑固な所があり、こうなると自分が折れるしかないことは、すぐに分かった。 「……分かったよ。ちょっと長くなるかもしれないけど、大丈夫?」 「平気よ。興味あることはとことん知りたくなるの、知ってるでしょ?」 「うん、そうだね。知ってる」 「ふふふ」 「じゃあ、まずは一年生の頃のことから話そうか」
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