0人が本棚に入れています
本棚に追加
「……あら?」
ふと目を覚ました私ー千夜が窓の外を見ると、そこには『函館』の駅名標。そして自分の隣に目線を移すと、可愛らしい寝息を立てて眠っているシャロちゃんがいた。
「そっか、私シャロちゃんがシャワーを浴びている間に寝ちゃったのね」
私は体を起こし、背もたれによりかかる。
シャロちゃんは私が起きてもそれに気がつくことなく、相変わらず気持ち良さそうに眠っていた。
そんなシャロちゃんを眺めていると、ふと昨日見た夢のことを思い出した。
シャロちゃんが私への思いを一人でつぶやいている夢。『可愛いけどときどき変なことをしたり、私にいたずらしたりするちょっと残念な子』とか言われてた気がするわ。
「…ふふっ、そうね」
思わず少し笑いがこぼれる。正直に言うと、私にその自覚はあったりする。だからこそ、そんな夢を見たのだろうけれど。
私がおかしなことをしたり、いたずらをする原因の多くは、実はシャロちゃんだったりする。シャロちゃんが可愛いから、ついつい反応を見たくなってしまうのよね。
よく言わている『好きな子にちょっかいをかけたくなる』みたいな感覚に似ているのかしら。シャロちゃんに『めんどくさい人』とか思われてなければいいのだけど。
でも、たぶんシャロちゃんも私にそういう天邪鬼みたいなところがあるのは分かってくれているんだと思う。そして、そんな私に良くしてくれるシャロちゃんは、私にとってすごく大切な人。
昨日の夢の中で、シャロちゃんは私に『大好き』とも言ってくれた気がする。どうせ夢だけれど、せっかくだしその返事をしてみよう。
私はシャロちゃんの頭をゆっくりと撫でながら、
「私も、シャロちゃんのことが大好きよ」
そうつぶやいた。
最初のコメントを投稿しよう!