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私がそのまましばらくシャロちゃんの頭を撫でていると、昨日飲み物を届けてくれた乗務員の人が、サービスのモーニングコーヒーと紅茶を一杯ずつ届けてくれた。
シャロちゃんはその音で目が覚めたのか、体を起こした。
「おはよう、シャロちゃん」
私がそう声をかけると、シャロちゃんはなぜか照れたように顔を少し赤くして、
「お、おはよう…」
と小さな声でそう返事をした。
シーツと枕を取り払ってベッドをソファーに戻し、そこに二人で座ってコーヒーと紅茶を飲む。列車の車窓には、真夏の北海道の景色が映っていた。
「ねえシャロちゃん」
「なに?」
「私、シャロちゃんと一緒にこうやって旅行できてすごく嬉しいわ。これから一杯楽しみましょうね」
私がそう言うとシャロちゃんは「ずるいわ…私なんて寝ている千夜にそう言うだけでも照れたのに…」とよく聞き取れない独り言を言っていたけど、
「そうね」
と、はにかんだ笑顔で短くそう返してきた。
私とシャロちゃんの北海道旅行は、まだ始まったばかりだ。
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