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「豪華寝台特急で行くペア北海道旅行?」
「ええ、そうなの。市場でやってた福引きでね、引いたら当たったのよ。だからシャロちゃんに早く伝えたくて」
帰り道、嬉しそうにそう話す千夜の手には「一等賞」と書かれのしで飾られた封筒が。
「つまり私と一緒に行こうってこと?」
「そうよ、シャロちゃんは夏休み余裕ある?」
夏休みはさすがに休みたいし、少しお金も貯まったからバイトは少なめにしてある。だから旅行には行けそうだけど、私は少し疑問に思った。
「私は大丈夫だけど、ココアとかを誘った方がいいんじゃない?私とは昔からよく一緒に出かけてたじゃない」
千夜のおばあちゃんはいろんなところへ出かけるのが好きで、小さい頃は私と千夜もよく連れて行ってもらっていた。だから、まだ一緒に遠出したことのないはずのココアを誘った方がいいんじゃないかと思った。
だけど、千夜は嬉しそうな表情のままで私の言葉を否定した。
「確かにココアちゃんともいつか旅行してみたいけど、私がこれを当てたとき、真っ先に思い浮かんだのがシャロちゃんの顔だったの。だから今回はシャロちゃんと行くわ」
「ふ、ふーん。ならそうするわ…」
私はなるべく落ち着いて返事をしたつもりだったけど、少し動揺が出てしまった。だってそんなこと言われたら照れるじゃない…
そんな訳で、私は千夜と二人で旅行に出ることになった。
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