§最終章Ⅰ§

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俺は安堵の息を吐いた。 やれやれ、外野の俺達はとんだお邪魔虫になってしまっている。 ふと、榊さんの方へ目線を向けると俺の意図を読んだらしく、コクンと頷いた。 誤解はもう全部溶けたんだ、ここにいる必要はもうない。 これからの事は二人で解決してもらおう。 俺は掛け布団をめくり、眠っている優子を抱き上げた。 気を利かせた榊さんが近寄ってきて優子のバッグとコートを拾い上げ、先に出口へと足を運び、ドアを開けてくれて。 俺達はその部屋を後にした。 「田原様、お部屋をご用意しましょう。今夜はこのままこちらへご宿泊下さいませ。代金はもちろん私共が持ちます」 「ありがとうございます。お言葉に甘えます」 春香さん、敦志さん、二人ともお幸せに……。
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