§最終章Ⅰ§

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ご歓談を終えた優子様をお見送りする際にチラリと垣間見せた敦志様の笑みは尋常じゃなく、胸中がざわめいた。 何か、嫌な予感がする。 そう思った私は個人的に優子様の身辺調査を依頼した。 何もないならそれに越したことはない。一笑に付せばいいだけのことだ。 だが、数日後に調査報告書が届き、その中にあった“田原翔”の名前と写真を見て予感は的中したと思った。 敦志様は田原翔の恋人である優子様を利用し、何かよからぬことを考えているに違いない。 もしかしたら、自分がされた事の仕返しをするおつもりか……? 確かに、事の発端を招いた田原翔のことは私も憎い。どうなろうと知ったことではない。 だが…それよりも敦志様の事が気にかかる。
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