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そうして、夫は局様にお会いする事が出来ました。夫は直ぐにでも宮中に戻られるよう、誠心誠意の言葉を尽くしたそうにございます。
しかしながら、局様のご意志は固く。
「私が、宮中におりましたなら、必ずや争乱になりますでしょう。帝にお伝え下さいませ。どうか。私を諦めて下さいませ、と。出来ればお捜し下さいますな、と――」
探すな、と言われても、既に見つかってしまったものをと、夫が言いますと、局様は見つからなかった事にして欲しい、と涙を流しながら頼まれたそうにございます。
夫は……と言えば、帝の嘆き悲しまれるお姿を知っており、とてもそのような事は言えない、と伝えたとか。それでも、局様は肯じ得なかったそうにございます。
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