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かつて、中納言正二位藤原成範(フジワラノシゲノリ)の娘で、小督局(コゴウノツボネ)と呼ばれた方がいらっしゃいました。
局様は、入内(ジュダイ)なされた時、十五歳になられたと思われます。時の帝は高倉天皇であらせられ、帝にお慈悲を頂いて、第一皇女となられた範子内親王様をお生みになられました。
局様は、宮中一美しく、箏の名手であらせられました。その音色は、囀ずる鳥達も黙ってしまう程だったとか。
帝に美しさも箏の音も愛された局様。奥ゆかしく楚々として、決して帝のご寵愛を我が物にしよう、と画策なさる方では無かった、と聞き及んでおります。
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