想夫恋(ソウフレン)

4/8
前へ
/10ページ
次へ
 更には、範子内親王様まで産まれてしまったが為に、局様はますます平清盛様に睨まれたようでございました。  局様は、これ以上宮中に居ては、自らが争乱の火種になる……と思われて、宮廷から姿を消された由にございます。  内親王様を宮中に置いて、姿を消す事、どれだけお辛かった事か……。けれども、どれだけ辛かろうとも、争乱の火種になるような事は、と仕方がなかったようでございます。  そういう機微が解るご聡明な方でもあらせられたようです。  宮廷を去られた局様を思い、嘆き悲しまれる帝。そのお姿は悲痛という言葉、そのものだったそうでございます。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加