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帝がそのように嘆き悲しまれていらっしゃるのを目にされた方が、局様は嵯峨野にいらっしゃるようでございます、とお話なさり、それを聞き届けられた帝が、我が夫・源仲国(ミナモトノナカクニ)に探す事をお命じなされました。
夫・仲国が嵯峨野の奥深くに足を踏み入れた時の事。
胸を締め付けられる程に狂おしい「想夫恋」が、箏の調べが、風に乗って聞こえたそうにございます。
このような侘しい場所に、これ程の箏の名手が居ようとは……まさしく、局様に違いない。
夫はそのように思った、と申しておりました。夫は武骨者ではございますが、その夫の魂を奮わせる程の音色だったそうでございます。
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