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「はぁっ、はぁっ、はぁっ、」
窓を見ると既に夜が明けていた。
布団は脂汗でべっとりと湿っている。
ずっと前から続いている体調不良で、バイトもできなくなったのは半年前。
病院に罹る金もない私は、市販薬で治そうと思ったが、症状は日に日に悪くなる。
何故、私がこんな目に遭うのか……
思えば、十年前の大学一年の時だった。
当時、付き合っていた同学年の彼女を妊娠させてしまった。
たまたま使用した避妊具が不良品だったのだろう。
もしかしたら、誰かがイタズラをしたのかもしれない。
大学一年の晩秋に、彼女から生理が来ないことを告げられた時、私は嫌な予感がして、すぐに病院に行った。
嫌な予感は的中した。
妊娠3ヶ月。
まだ十代の私たちには堕胎しか選択はなかったが、彼女の負担を考えると時間は余りない。
私は堕胎費用の為に、親に泣きつくしかなかった。
彼女も同意の上で堕胎したが、人の口に戸は立てられない。
彼女が退院した頃には、噂は大学中に広まり、いたたまれなくなった彼女は年明けも待たず自主退学した。
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