胎動

6/18
前へ
/18ページ
次へ
(検査したって、今更無駄だと思うがね) 「またお前か」 (俺の生命力は既にお前を凌駕している) 「何の話だ?」 (俺を殺そうとしたところで、まずお前の方が持たねえんだよ) 「だから、何の話だよ?」 (まあ、じきに解るさ……) この声がどこから聞こえているのかは分からなかったが、端から見たら、私は単に独り言をしているように見えるかもしれない。 そんなことを考えていると、看護士が車椅子を押しながら入ってきた。 「では、検査の時間になりましたので、車椅子に乗ってください。 これから検査病棟に向かいます。」 私は促されるまま、車椅子に座り、病棟に行った。 その頃、連絡を受けた両親が、病院に到着していた。 十年振りの対面が、まさかこんなことになるとは……
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加