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「………」
「………」
「いかが致しましょう?」
「……情けない話です……が、儂らもそれだけ余裕がある訳ではありません………
息子も、無意味に延命することは望まないでしょう。
延命治療はお断りさせていただきます………」
両親の顔は悲しみでくしゃくしゃになっていた。
「ご英断と判断します。
患者様のまるでスパゲティモンスターのような姿にしてまで無理やり生かすのは、生命に対する冒涜だと、私は思っておりますので……」
「あと、先生の見立てでは、息子の余命はどれくらいでしょうか?」
「現時点での私の見立てでは、おそらくは長くても二週間。
場合によっては、もっと短くなるかもしれません。
患者本人の体力もかなり減少しておりますから、ここからは気力の勝負です。」
「今、息子に会えるでしょうか?」
医者は時計を見た。
「面会時間は過ぎてますが、なんとかしましょう。
しかし、今は患者様は痛み止めの麻酔で眠っているかもしれません。
会っても何もできないでしょうが……」
「構いません。とりあえず、顔が見たいのです。」
「わかりました。
息子さんはA病棟の七階、703号室に居ます。
四人部屋ですが、同室の方が今日退院されたので、今は病室に一人のはずです。」
「ありがとうございます」
そう言うと、夫婦は診察室を出ていった。
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