第一話-チュートリアル-

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【名前】シンドー 【職業】剣士 【レベル】1 【経験値】0/10 【装備】冒険者の服、冒険者のズボン、冒険者の靴、ウッドソード 【スキル】切り払い ステータスの項目を開くとシンプルに纏められていた。 「いや、幾ら数字を撤廃してもシンプル過ぎじゃないですか?」  後は、お知らせ、アイテム画面や装備画面、スキル説明、ヘルプ、オプションとフレンド機能など。最低限しかない画面で寂しい。 「お知らせが一通きてるな。サービス開始のあいさつ。開いておくか」  シンドーが軽く画面にタッチすると、運営からのデスゲーム宣言が開く。  言葉が消えるとはこういう事を言うのかもしれない。  シンドーは本文と睨めっこしながら、ログアウトボタンをメニューから探す。  ないないない。  何処にも見当たらない。冷や汗をかきながらも、緊急脱出用の音声コマンドを吐く。 「SOS」  システムからの干渉を感じられない。安全設計の問題上、緊急脱出用の音声コマンドをVRMMOの制作側は干渉できない作りである。もし、何らかの細工をしただけで、その企業は世間からのバッシングと賠償を免れない。  そのようなリスクを背負う企業はなく、今まで緊急脱出できない事故は0である。故に、シンドーはお知らせの内容の本気度が怖かった。 「ふざけるな! GM出てこい」 「責任者だしなさい」 「この後、大事な予定があるんだ。出してくれよ」 「おうちに帰れないの? お母さん助けてぇぇぇ!」  シンドー以外の人々もお知らせに気づいたのか、村のプレイヤーは大混乱である。怒鳴り散らすもの、糾弾するもの、幼い子供の泣き声。  その中を、デスゲームと知りながら先を目指すものはチュートリアルクエストに駆け出す。  行動の早いのは恐らく、他のプレイヤーより先行して優位に立つためである。  情報の独占は何も知らないVRMMOでは価値があるものだ。  リスクはあるが、リターンは多いだろう。それにデスゲーム宣言が内容が本当なら、最大で20名しか助からない。ファミリーはMMOによくあるギルドのようなものだ。ファミリーを結成することで様々な特典や限定クエストに参加できる。
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