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「とにかくあの子を超える女でも現れなきゃ、きっと彼女ができたって上手くいかねぇよ。」
俺は話題を逸らすかのように匠海へタバコを勧め、自分も1本加えて早速火を点けた。
コンロの周りではまだ後輩たちが必死に作業を続けている。
3年生の俺らは、面倒な作業を後輩に任せても咎められない。
「この休みが終わったら、本格的に就活しなきゃマズイよなー・・・。」
タバコの煙を吐きながら、匠海は自分の将来を見据えてぼやいている。
匠海は島根の田舎から上京して大学生活を送っている。
俺みたいな生まれも育ちも首都圏だった奴らと違い、匠海が東京に残って就職するためにはそれなりの努力が必要だった。
「柊哉はいいよなー。
お前は教職課程取ってんだろ?
中学・高校の理科教員だっけ?」
「ああ・・・、まぁな。
親父が教員だから、なんとなく取ろうと思っただけだけど。」
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