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俺の親父は都内で小学校教員をしていた。
しかし俺が大学へ進学すると同時に、いきなり「僻地の学校で働きたい」と言って長野の山奥に転勤し今は教頭になっている。
元々自然が好きだった親父らしいと言えばその通りだが、俺はやっぱり都会で暮らしたかった。
「ま、別に教師になりたい訳じゃないし。
一般就職も視野に入れながら就活するよ。」
言葉では表面的にそう繕っている。
だけど本当は、教師になって多くの子どもたちと触れ合いたいと思っていた。
そう志すようになった理由は、やっぱり小学生の頃の楽しい思い出が心に深く根付いているからなのだと思う。
そんな真面目な話をしていると、今回のイベントの幹事である後輩の携帯電話が着信音を鳴らした。
「もしもし?今どこ!?」
顔をにやつかせ、嬉しそうに電話に出た彼。
恐らく電話の相手は、これからここに来るであろう希恋館女子大の知人だ。
この着信を受けて、工大メンバーの動きが慌ただしくなる。
みんなこれから齎される“花”との出会いに、きっと大きな期待を抱いているのだ。
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