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礼奈は餌だったのだ。
「離せっ、クソッ!」
正義感に溢れた、愚かな獲物を呼び寄せる為の。
「おわっ!?」
怪物は、啓太を持ち上げた状態で、啓太の片方の足首を持つと、今まで掴んでいた髪の毛を手放した。
「うぉ!? くそっ、おいっ!」
逆さ吊りの体勢でもがく啓太。
「離っ……せ……?」
そして、そこで改めて相手の姿をしっかりと確認し、
「何だ……これ?」
恐怖する。
背筋に寒気が走り、体が震えだす。
「うわぁぁぁあああ!!!!」
バタバタと出鱈目に手足を振り回し、更に激しくもがきだす啓太。
別荘で初めて見た時は、一瞬でよく見えなかった。
襲われた時は後ろからで、姿が見えなかった。
「ああああああああああ!!!!!! ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
啓太はこの時初めて、怪物の姿をしっかりと視認したのだ。
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