第九章 広がる狂気

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破れた臓器や、傷ついた皮膚から溢れる体液に満たされた、啓太の体の中。 そうでなくても肉に覆われた密閉空間。 吸える空気はどこにも無い。 「…………!! ………」 礼奈は必死にその肉の袋から逃げ出そうと必死に動いていた。 外から見ると、啓太の腹はまるで妊娠中の妊婦のように膨らんでいる。 違う点といえば、普通の胎児は母親の腹の肉を食い破り、胎内から逃げ出そうなどとはしない事。 それに何より、そもそも啓太は男であり、体内に何かを収納する為の器官は一つも存在していないという事である。
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