第九章 広がる狂気

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「!!!!……!!…………!!!!!!」 礼奈の息が限界に近づいてきた。 腹の内側を歯で噛み千切り、外側からも握力の無くなった手を使い、必死に掻き毟る。 「    」 だが、そんな事をされても啓太はピクリとも反応しない。 「    」 幸か不幸か。 その時にはもう、啓太の意識も痛覚も、完全に消失していた。 (死ぬ……! 死ぬ……! 死ぬ…………死にたくない!!!!) 酸素が脳に回らない。 意識が朦朧としてくる。 腹の中で、もの凄い表情になりながら啓太の肉にかぶりつく。 口の中にたまる啓太の血肉を吐き出すことも、もう止めた。 吐き出す間も惜しみ、全てを飲み込み、必死に啓太の肉をむさぼる。 生きるために。
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