第九章 広がる狂気

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そして、 ムチチッ……! 「ひゅぃっ!?」 ギリギリのところで、新鮮な空気が礼奈の肺を膨らませる。 啓太の腹を内側から食い破り、少しだけだが、文字通り風穴を開けることに成功したのだ。 「ふぅぅぅぅうう! すふぅぅぅぅうううう!!!! ずずっ!」 小さく開いた穴に唇の先を差込み、必死に酸素を取り入れようとする礼奈。 腹の内側から溢れる血が、たまに口の中に入り込んでくるが、気にしている余裕などない。 必死に呼吸を繰り返す。 「すぅ、はぁ、すぅ、はぁ、す……ふむっ!?」 唇を掴まれた。 「んんんむ!!?? んんんん!!!!」 (息、息、息、息!!!!) 怪物に掴まれたのだろう。
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