第九章 広がる狂気

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しかし、礼奈にとっては唇を誰に、何の為に掴まれたのかは問題ではない。 (息、息、息、息!!!!) 呼吸を妨げられた事の方が、切迫した問題だった。 だが、何の為に掴まれたのかを少しは気にするべきだった。 あの怪物が、ただ指で口を塞ぐ為に唇をつまむわけが無い。 ミチ、メチメチメチ…………! 「!!??…………んぁぁあああああああああ!!!!!!」 唇を、引きちぎられた。 口を閉じても開いても、礼奈の前歯が隙間から覗く。 だがその直後、代わりといっては何だが、礼菜が心配していた呼吸の問題がすぐに解決することになった。 ミリリ、ビリリリィィィィ!!!! 怪物が、啓太の腹に手をかけ、礼奈の頭を露出させるように引き裂いたのだ。 「ぅわぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!」 叫ぶ礼奈。
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