第九章 広がる狂気

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勿論、呼吸が出来るようになったと喜ぶわけも無い。 裂けた穴から勢い良く頭を突き出し、起き上がろうとする。 が、完全に裂け切れていない、腹部から股間にかけての部分が首に引っかかり、体が持ち上がらない。 「ひぃ、ひぃぃいい、ひぃ!」 恐怖と混乱から、啓太の腹から頭を突き出したまま、気が狂ったように暴れる礼奈。 一度突き出した頭を体内に戻し、入ってきた股の間から引き抜けば良いのだという、当たり前の事にすら気付けない。 「あぁぁぁぁああ!!!! 嫌ぁぁああああああ!!!!!!」 怪物はそんな礼奈をしばらく眺めると、おもむろに自分の足を持ち上げ、 ごしゃっ! 「うぎぃぃぃぃぃいいいいい!!!!!」 礼奈の右の太ももを踏み潰した。 それも、表現的な意味ではなく、そのままの意味で踏み「潰した」。
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