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ぶつぶつと言いながら、老人はタブレットを操作する
「だいたい、このタブレットっていうのもまた、アタシは苦手なのに……。おかげでここに来るまで迷い捲ったから、究極の冷えぴたシート三枚貼りの裏技を使うはめになったでち!!」
自分の禿げ頭をぺちりと叩き。
「まぁ、いいでつ。文句はマッチーにしこたま言ってやるでち。どーせ、マッチー、墓の中だから、言い返せないし」
うひょひょひょと笑いながら、老人はゆっくりと歩き出した。
――――
ここは郊外の丘の上にある、共同墓地。
老人がゆっくりと歩いて行くと、墓地を管理しているらしい教会が見えてきた。
中から歌声が聞こえてくる。
アメイジング・グレイス――。
合唱団か何かが練習をしているのだろう。
厳かな――美しい声を聞きながら、老人は歩き続ける。
そして――一つの墓碑の前にたどり着いた。
「マッチーぃぃ!! やっくんが来てやったぞぉぉ!! いぇぇい!!」
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