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『何でって言われても……仕方ないじゃない。もう、そんなに泣かないでよ』
困ったように笑う――マチルダの声が聞こえたような気がした。
「だって!! だって、マッチぃぃ!! うわぁぁぁ!!」
慟哭する老いた戦士を労るように、優しい声が響いた。
『でもね……。女って……男のそういうところに……キュンッてきちゃうんだよね』
「ああああ!! マッチぃぃ!! マッチぃぃ!!」
老いた戦士は墓標の前で泣き続ける。
それは――毒婦マチルダだけではなく。
共に泣き、笑い、戦った多くのクリエイター達と過ごした――幸せな時代。
ひとつの時代に対する様々な想いを込めて――老いた戦士は慟哭する。
そうして――
アメイジング・グレイスが慟哭を包むこむように、蒼い空に吸い込まれていく。
まるで――ひとつの時代が終わることへの哀悼のように――
ひとつの時代を迎える――祝詞のように――
アメイジング・グレイスは蒼窮の空に吸い込まれていくのだった――。
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