序章

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「ほら、あれって」 「ああランキング1位の・・・・・・」 「本当に怖いよね。なんで普通に学校に通えるのかしら」 「そうだよね。あんなに力があるなら、この学園じゃなくて由良(ゆら)や紫苑(しおん)に通えばいいのに」 「ええ。わざわざ来栖(くるす)学園に通ってるってのが嫌だよね」 「そうそう、そういえば、『ここは周りが弱いからいい。簡単に自分が一番になれる』って言ってたらしいよ。本当そういうのむかつく!」 (・・・そんな訳ないでしょ) 女子生徒の陰口が聞こえた朝霧朔也(あさぎり さくや)は、はぁーっと大きなため息をついた。いつものように廊下の隅を目立たないようにふらふらと歩いていたが、今の現状を鑑みると朔也の心ばかりの気遣いであるそれは全くの無駄に終わっていたらしい。 朔也がため息をついた理由、それは陰口を言われたからではなくて。 彼女たちが朔也に聞こえるようにわざわざ大きな声で話しているからだった。
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