一章

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「失礼します!!」 晃一が複雑な思いを抱いていると、ほとんど叫ぶような大声を出して、数人の生徒が慌ただしく職員室に入って来た。 「あら、どうしたの?」 さっき朔也に話しかけていた先生が、おっとりした態度で飛び込んできた生徒たちの話を聞く。 「大変です!! 氷室と炎城が校舎で戦ってます!!」 「もう、結構めちゃくちゃになってまっ、げほっげほっ!」 「おい! 無理すんな!」 生徒たちは必死で現場の状況を先生に伝えていた。確かに必死ではあるし、本人たちが本気なのは伝わってくるが、いまいち何が起こっているか分からない。とりあえず校舎でまずいことが起こっていることは分かり、晃一は嫌そうな顔をした。 「おいおい、何で氷室と炎城が校舎で戦ってんだよ。あいつら滅多に顔合わせないようにしてるはずだろ」 「・・・ああ。そういえば炎城が俺達の教室の前に来てたのを見ましたよ。何で二人が戦ってるのかまでは分からないですけど」 朔也は不思議そうに首を傾げた。
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