一章

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「またお前が原因なんじゃないのか? 炎城のやつ、お前のことになるとよく頭に血が上るからなあ」 晃一はちらり朔也を見た。しかし、朔也はため息をついて首を振る。 「はあ、いやだなあ。何でもかんでも俺のせいじゃないですよ。それより氷室が暴れてるんなら、里中先生が原因だと思うんですけど」 「それこそ、そんなことはないだろ。何で俺が原因になるんだよ」 朔也の言葉を、晃一は笑いながら否定する。なぜ朔也にそんなことを言われているのかまったく分かっていないのだ。 「自覚なしかぁ」 朔也はやれやれと思いながらつぶやいた。 「まあ、校舎で戦ってるくらいなんだから、よっぽどの理由があったんじゃないか?」 「そうですね、俺もそう思いますよ。さすがに常識がない二人じゃないでしょうからね」 朔也と晃一は助けを求めに来た生徒達を眺めながら、のんびりと会話をしていた。 まさしくこの二人が元凶であるのだけれど、本人たちはまったくそのことに気付いていない。
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