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「こら、そんなこと言わないの」
先生に注意されて一応黙ったけれど、どの顔も不満気だった。自分たちが注意されたことに納得いかないのだ。だって、自分たちは何も間違ったことを言っていないと信じているのだから。
生徒たちが自分のことを話している間、朔也は聞こえているのか聞こえていないのか、無表情でぼーっと立っていた。そんな朔也を見て、晃一は何とも言えない顔をする。
「おい、朝霧。お前が人に好かれないようにしてるのは分かってるが、最近はやりすぎじゃないのか?」
晃一は朔也にだけ聞こえるように小声で話した。朔也も同じように小声で答える。
「俺だって最近のは困ってるんですよ。多分誰かが意図的に悪い噂を流してるんだ思うんですけど」
晃一は少し驚いたが、同時に納得もした。
「やっぱり最近のはお前がわざとやってるんじゃなかったのか。だったら早く解決したほうがいいぞ。ただでさえ生徒の中ではお前の評価悪いのに、これ以上悪くしたらどうなるか分からない」
晃一に忠告されて、朔也は少し不機嫌になる。
「だからどうしようもないんです。誰が噂を流してるのかまったく分からなくて。誰か分かったら、どうにでもできるんですけど」
朔也すねた言い方をして、不機嫌そうに口をとがらせる。晃一ははっとする。その態度で察してしまったのだ。朔也がすねている理由を。晃一はそれを言おうか少し迷ったが、結局言うことにした。
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